契約って何ですか?(平成21年9月7日)

 コミックバンチに連載されている「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」というマンガがある。文藝春秋の原作が、新潮社でコミック化される不思議はさておき、傍聴マニアの見た、いろいろな裁判の事を面白おかしく描いていて、既に8巻まで来ている。殺人、傷害、窃盗、詐欺、薬物、性犯罪とありとあらゆる刑事事件を網羅し、果ては離婚調停なんて、完全に他人が立ち入るべきでない世界まで傍聴に行っていて、作者は相当な暇人と見受けられる。で、そこに出てくる被告人達のどうしようもない姿を見ていると、あくまでマンガとはいえ、実体験に基いているので、非常にリアルに今の世相があぶりだされている感じがし、ついつい引き込まれてしまうのだ。
 一言で言うと、無分別と言うのだろうか、人として当たり前の事を自分の都合のいいように解釈している被告人の姿が傍聴者の心の呟きに写し出され、変な共感を覚えてしまうのだ。
 このマンガを読んでいるとき、私はいつも別の事柄に置き換えて読んでしまう。それはクレーマーと言う程ではないが、まさしく自分の都合だけを主張する電話の向こうのみなさんだ。
 最初の頃はこういう電話を受けるとすぐ気色ばんだ声を出していたものだったが、最近は達観してしまったからか、逆ギレまではいかないで済むようになってきた。それでも、新聞屋はなめられている。とつくづく実感させられる電話が掛かってくる事がある。
 その時、その人は確かにこう言った。販売店に、新聞をすぐやめたいと言う電話をしたら、10月まで契約があるから止められないと言われた。契約したら終わりまで取らなきゃいけないんですか?だと。別に契約者が死亡した訳でも海外へ転居する訳でもないらしい。
 もはや開いた口が塞がらない。本当に契約してるんならそれは履行してもらわなければ困るし、契約した覚えなんかないっていうなら、出るところに出てもらえばいい。しかし、契約したら取らなきゃいけないんですか?って、あんた借金しても返さなくて平気な人かよと言いたくなった。
 9月1日に発足した消費者庁でも、それをぶっ潰して民主党が作ろうっていう消費者権利院でも、どっちでもいいが、特定商取引法や消費者契約法に違反している訳でもない、普通に契約した商取引の契約が、消費者が嫌だっていったら、そんなに簡単に反故に出来るんですかと問い質したい。約束をしたら守るのが人としての道だと思うのだが、たまにこういうことを平気で、というか、さも当然のように言って来る人がいる。上記「裁判長!〜・・・・〜」のマンガを読みながら、たまたまこいつは犯罪者になっちゃったけど、予備軍的な考えの人いるような〜って思ってしまうのである。

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