担当員にカーナビなんていらない(平成16年12月5日)

 私は現在担当員ではないが、自分は昭和の担当員という意識を持っている。今ではすっかりおやじになってしまった絶滅寸前の昭和の担当員だ。どこの社でも、現役の担当員で昭和の時代から担当やってる人間は少数派になっているのではないか。おやじになってしまったからか、例によってまた今時の若いモンはの話になってしまう。

 以前にも書いたことがあったかも知れないが、かつて我が社で地方を回る担当員にレンタカー制度が導入された時、その説明会で、ニッポンレンタカーの担当者に「カーナビついてますか」と聞いた奴が居て、後ろの方から「担当員はカーナビなんか使うんじゃねえよ」と叫んだ私である。今でもその思いは変わらないばかりか、益々強くなっている。日本の若者はどんどん低きに流れている。ただでさえ地図の見方一つ知らないのに、カーナビに頼っていれば、その地区についてその特色も、住んでいる層も詳しくなるものはいないだろう。店と言えば、店主と店舗と従業員だけで、区域という重要な要素についてはどこかに置き去られてしまう。

 これもまたよく言っていることだが、担当は、その地区において、自系統の新聞販売に関しては全知全能の神でなければならない。担当員は区域に応じた販売戦術を考える必要がある。社の看板=権力をバックにして、ただ増やせ増やせというなら、担当員なんて誰でも出来る。長野県なら長野県、都内中部なら都内中部という地区を歩いて、自分の目で区域を見て、ここではこういった手法が適当だという物を見出さなければならない。もちろん都内なんて車で回るのは馬鹿げているのは重々承知の上だ。そして、そうした中から副産物も出てくる。そもそも長野の担当をやっていなければ、中越地震で長野県側からの方が確実に被災地に早く近づけるなどという発想は出てこないだろう。地図を見て瞬時にどこが近いか見分ける能力と、過去に近くまで行っていたという経験の賜物である。

 地図の読めない担当にはそれが出来ないというのが私の持論である。カーナビに頼っていれば、カーナビの辿るラインしか分からない。地図を見て、地形、道路を覚えてから、自分の目で確かめつつ走り回ることで、区域が見えてくる。最近はむやみやたらと区域を削ったり、くっつけたりすることが多いわけだが、それは区域を知らなければおかしな区域を自ら作り出してしまうことになる。迷惑するのは、そこの店主と次の担当員だ。

 自分の区域内にある町字名くらい聞いたらどの辺と分かれよ。といいたい今日この頃なのだが、書類ばっかり書かされて、そんな余裕のない担当員は可哀想だなあなどと思いつつ、担当生活15年で10箇所の担当をした知識をベースに毎日毎日区域台帳とにらめっこしてますます地理に強くなっていく私なのだった。

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