新潟県中越地震2(平成16年11月7日)

 あれから2週間が経った。あっという間の2週間だった。地震から10日後の11月2日、私は再び中越の地に向かった。我が販売局長、東日本販売本部長兼山静信越販売部長そして飛び入りで参加した社長秘書の現地専売店見舞&激励訪店の運転手兼案内人としてだ。今回は地震直後に行った十日町や小千谷の他に、入広瀬や見附、栃尾も日程に含む1泊2日の訪店である。10日経って現地を訪れて、日本の土木技術は凄いと思った。今回現地を訪れるにあたり、近くまで新幹線で行ってレンタカーを借りることになった。前回の経験からやはり4駆でなければダメだと思い、越後湯沢のニッポンレンタカーでは全部出払っていたので長野で借りて、前回同様越後田沢から新潟入りすることにしたのだが、当日まで毎日新潟土木事務所や道路交通情報センターのサイトを見ていると、応急復旧処置という注釈付で、日に日に通行止め箇所が解除されていく。例えば、私が写真を載せている117号線の十日町から小千谷に入ったところの崩落現場など、帰りに通ったのだが、既に山側に片道交互通行ながら、ダンプも通れる舗装道路が作られていた。一般車は通行止めになっていた関越道も既に緊急車及び支援車両は走っていたし、6日には全線通行止め解除になった。現地にどんどん支援物資を入れなければならないのだから、まず真っ先に道路をどうにかしなければならない。地震翌日には通行止めをどこかで突破しなければ入れなかった小千谷市内にも、入れるようになっていた。正直言って4駆は必要なかった。それを言うと長野側から入る私のプランがお釈迦になるので黙っていたが、別に4駆でない普通のワゴンで十分だった。本当に日本の土木技術は凄い。

 道路を先頭に現地は徐々に復旧してきており、避難した車でいっぱいだった十日町高校のグランドも数基のテントが点在するだけで、皆家に戻っているようだった。十日町の店で改めて所長に話を聞くと、今回の地震は家や体ごと思い切りねじられるような揺れだったということだ。我々が普通体験する地震は縦揺れなら突き上げられるような感じだし、横揺れなら波に揺られるような感じだが、それとは全く違う揺れというより思いきり揺さぶられるという感覚がねじられると言う言葉から想像出来る。十日町の店はあらゆる部屋の壁にひびが入っており、その揺さぶりの凄さを感じさせた。現在、市が建物の被害程度を調査して歩いており、赤(危険)黄(要注意)緑(調査済)の3ランクに分けてポスターを貼っており、十日町店も小千谷店も黄色が貼られていた。今や、現地の人々にとって最大の不安要因は余震よりも雪である。あっという間に冬がやってくる。そして、この一帯は日本一の豪雪地帯だ。地震で弱った家にも容赦なく一晩1mの積雪が降り注ぐ。せめて暖冬で雪が少ないことを祈るしかない。そうでないと、雪による2次災害がこの地域を襲うだろう。

 よく人から聞かれるのは、新聞は配られているのかどうかだが、地震の翌日でも十日町の店はほとんど配っていた。しかし、停電が続いていたため、普段なら間違えることのない交差点でもうっかり通り過ぎてしまうなど、困難を極めていたようである。その後しばらくは避難所にも配達していたが、皆車中泊して、朝になると家にいったん戻るため、基本的に各戸配達に戻したようだ。小千谷店では山古志村を区域として抱えている。誰もいないからもちろん配らないのだが、従業員の家が流されてしまったそうだ。我々は行かなかった場所だが、越後川口だけはつい最近まで、町に新聞輸送のトラックが入れず、隣の堀之内まで取り出しに来てもらっていた。山古志の次にひどいのはおそらく川口だろう。そして小千谷だ。今回は長岡から小千谷に入ったのだが、長岡市を北から南へ小千谷に近づくにつれ、屋根にブルーシートを貼った家が目立った。瓦が崩れてしまったのだ。そして、例の放置新幹線も長岡の小千谷寄りの高架上にまだそのままだった。今日7日遺体が搬出されたが、皆川一家の乗っていた車にもまだブルーシートがかかっている光景を目撃した。そして、長岡から小千谷市内に入ると、地震翌日より多少は片づいているものの、ほとんど無惨な状態そのままであった。雪が来る前に何とかしないと大変だ。作業人員が圧倒的に足りないという感じである。うちのえらい人達も最後の訪店地小千谷に入って初めて、今回の地震の想像を絶するひどさを実感したようである。

 NHKが初めてという24時間テレビをやっていたが、本当に今我々に出来ることを考えなければならない。復旧が進み、現地の人達が少しでも普通に近い暮らしが出来るようになるために、我々として何が出来るのか。ボランティアに参加出来ればそれもいい、募金しか出来ないとすれば、少しでも募金しよう。祈ることで事態が好転するなら、祈りも捧げよう。いずれにしろ何かをしなければ。

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