休刊日問題とは一体何だったのか(平成14年7月29日)

 暑い夏だ。というより、東京はいつの夏も暑いのかも知れない。きれいな空気、湿度の低い気候に慣れきってしまった罰か、東京の夏がつらい。長野じゃあ楽しそうな選挙戦が始まるというのに、私はここで何をしているんだろう。

 その暑い夏の7月15日。何事もなかったかのように、産経を含む全ての一般紙は予定通り休刊日を貫いた。あの2月から5月の大騒ぎは一体何だったのか。W杯台風が洗い流してしまったのだろうか。来年の休刊日はいったいどうなるんだろう。4月頃には来年は9回だなどという声も大新聞の方から聞こえて来ていたが、今や何も聞こえて来なくなった。私の耳が遠くなったのだろうか。我が局長は、うちとしては年12回を堅持したいと言っていたが、是非そうあって欲しいものだと思う。

 2ヶ月前にチキンレースに負けたのはと題して、休刊日問題について書いて以来、このコラムの更新も億劫になり、月イチ更新というありさまだが、結局真相は分からず仕舞なので、書く気も失せてしまった。本当かどうか分からないが、公取から遠回しに行政指導があったとか、チキンレースを続けることによって、産経の休刊日即売そのものは成功しても、サンスポの休刊日即売で得られるはずの巨大な利益が無になってしまうので、社としてはトータルではかなりのマイナスなのだとか、いろいろ噂はある。公取は産経の休刊日即売について、店の方ばかり見て、読者を見ていないと不快感を示したそうだ。そもそも休刊日自体が、読者にとって不利益で、ましてや即売だけを発行して100円取るなど、実質値上げに他ならないとのことらしい。新聞販売店のために宅配を出さないというのは業者を保護して消費者に不利益をもたらしているということなのだろうか。では各社の2月の特別版についてはどのような見解だったのか、3月に休刊日を廃止したから不問なのか、あるいは3月に各社が休刊日を廃したの自体が公取の指導だったのだろうか。私は地方にいたせいか、人一倍、新聞販売店の零細性に敏感になってしまった。都会なら、週休代配システムをとることで休刊日がゼロになっても販売店労務はやっていけるだろうが、地方ではなかなかそうはいかない。公取は弱小ディーラーの保護ということより、やはり、消費者絶対主義なのだろう。だとすれば、かねがね消費者の多様な選択の可能性を求めて、コンビニ等での即売を奨励してきた政策の方も、もっと真剣に取り組んで欲しいものだ。競争排除まがいのことが公然と行われたことをどう考えているのだろうか。まあ、想像であれこれ書いても仕方がないのでこのくらいにしておこう。

 休刊日即売で、不公平だという読者の抗議が多数あったというが、あの当時は聞いたこともなかったし、楽しみにしているという声にかき消されていたのかもしれない。しかし、私の知る限り、休刊日即売を楽しみにしているひとはたくさんいた。販売店労務の問題を解決しつつ、読者のニーズに応える画期的な方法だと、私は今でも思っている。産経の休刊日即売を潰そうとするなら、各社とも休刊日即売を発行すれば、各社の恐れる産経一人勝ちなどなかったはずだ。2月3月の騒ぎはどう考えても過剰反応だったと思う。販売局内はもとより、編集の知人に聞いても、休刊日即売の停止は納得いかない人が多い。出来得るならば、そう遠くない将来に復活して欲しいものだ。何よりも、産経の夕刊廃止ショックと休刊日即売のダブルパンチが各社をして、必要以上に過剰反応させてしまったのだから、その衝撃が収まった頃、もう一度読者ニーズに応え、公取に文句つけられないよう、 形を変えてでもやって欲しいと、一産経読者としても熱望するものである。

 それにしても暑い。きっと今年はそれほど暑くないのだろうけれど、私には堪える。ああ、長野が恋しい。

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