系列とは恐ろしきもの(平成14年5月6日)

※この話は差し障りがありすぎるので、固有名詞は全て順番にアルファベットで伏せ字にしてあります。ABCに当てはまる言葉を知りたい方はメールでお問い合わせ下さい。

 明日は4度目の首都圏休刊日即売だ。まあ、ここまでくれば、ただ粛々と配置され、気に入ったお客さんに買ってもらえばいいのだが、相変わらず、気になる話がいろいろ飛び込んでくる。まずは、6月の休刊日が完全になくなってしまったことだ。本来ワールドカップの日本開催(おっと日韓共催か)という、歴史的イベントを考えれば、長野オリンピックで休刊したのにソルトレークシティ・オリンピックで特別版を出すことに比べれば、遙かに整合性のあることである。産経が宅配版を出すことには反対だが、サンスポの立場も考えれば、全国の新聞がみんな出るのにうちだけ出さないという訳にもいかないのだろう。うーむ、いくらの赤字で済むのだろうか。まあ、今更言っても始まらない。

 私は実配担当員なので、返品リスクを負わない即売会社というものに対して、あまりよいイメージを持ってはいなかったのだが、昨年のワンコイン作戦で産経の即売売れ行きが好調で、少しでも実売の増に貢献していると考えれば、今後、ちょっとは考えを改めようかなという気になってきた。ところで4月から産経新聞は、1面題字横にバーコードを入れるようになった。スポーツ紙ならコンビニも置いてくれるが、一般紙はなかなか置いてくれないため、コンビニ側の要請に応え、新聞としてのレイアウト上の問題やプライドなどに目をつぶって付けたものだ。バーコードを付けたからには、当然主要なコンビニチェーンに「ワンコイン産経」を置いてもらいたい。産経新聞としては、現在の致命的な知名度不足を補い、今まで産経を読んだ事のないお客さんに手にとってもらい、そこから新規の宅配申込につなげたいからだ。そこで産経社としては、まず販売店にバーコードが着いた事による地元コンビニとの配置交渉を依頼した。産経新聞としては、極力主要コンビニには配置したいので、本社としてもAやB、Cなど主要なコンビニチェーン本部と配置の交渉をしてきた。また、この機会に市場と販路の拡大につなげたい即売会社も、交渉の仲介に多大なる貢献をしてくれたようだ。そして、販売店で直接納入していないコンビニに対して、即売会社を通じて、5月1日からの産経新聞配置が決まった。と思っていた4月末、事件は起こった。

 D社が、わずか数日前になって突然、5月1日からの配送は出来ないと言ってきたのだ。理由は、"E系の販売店が産経新聞のコンビニ配置に反対しているとE新聞社から聞いたが、少しでも反対があるのならうちとしては出来ない"、というもの。あれだけ販売店の権益より、即売会社の販路を重視する政策を採ってきた、しかも、主筋の社からの反対があることなど当然分かっていながら、ビジネスのために今回の産経即売配置を推進してきた会社がだ。これはもう、相当の圧力がかかったとしか考えられない。あくまで噂だが、聞くところによると、E社のF局長がD社のG社長を呼んで、「誰の方を向いて仕事をしてるんだ」と恫喝まがいの圧力をかけたという話だ。これで、一気に話がひっくり返り、H社やI社など他の即売会社も5月からの産経の即売配置を見送ってしまったらしい。産経と協力関係にあるJ社が扱うコンビニだけは出来ないこともなかったが、とりあえずは見送ることに決めたようだ。同じAでもこの店はD社、あの店はH社、などと権利を持っている会社が複雑に錯綜しているらしく、県別に色分けしてあるBのようなケースであっても、同じ首都圏でかたや配置、かたや未配置ではまずいということで、今回は見送りとなったらしい。元々、Cの場合は都内で一般紙を全店置きたいということで、産経の場合、販売店の紙を別口座で納入して即売会社が配送し、精算するという方式を採ってきた。余談だが、私の担当地区ではCは一般紙もスポーツも販売店が直接納入し、H社が精算業務をしており、AやBではD社が納入精算を一手にやっているので、CあるいはKといったコンビニにはかなりのお店に産経新聞が配置されている。

 即売会社はH社はL系、I社はM系、D社はE系と色分けがあり、それぞれの成り立ちの事情から系列関係になっている。D社とE新聞社は今は資本関係はないらしい。各コンビニ本部は、5月1日から産経新聞を配置するということで、系列各店に既に通知を終え、バーコードでの商品管理の準備も完了していた。本部の顔は丸つぶれであり、現にあるコンビニ本部の雑誌新聞担当者は猛烈に怒っているらしい。即売会社にしてみれば、コンビニとの信頼関係は重大である。その信頼関係を損なってまで、資本関係のない会社の販売局長の顔色を伺わなければならないとは大変なことだなと思った。しかし、産経の増紙政策を一つでも阻止したいのだろうから、向こうも必死である。こちらも別な手段を考えていくしかないだろう。当面、全面的な即売配置は難しいのかもしれないが、時間の余裕が出来たことで、各産経販売店で、地元のコンビニへの売り込みを強化してもらえたらと思う。やっぱり、バーコードが付いているというのは強力な売り込み材料なのだから。

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