あくまでうわさ話(平成14年4月23日)

※この話は差し障りがありすぎるので、固有名詞は全て順番にアルファベットで伏せ字にしてあります。ABCに当てはまる言葉を知りたい方はメールでお問い合わせ下さい。

 先日、我が社のAという中堅担当社員が会社を辞めた。産経の販売が、大変だがしかし最高に面白いこの時期に辞めるというだけでも、既に義のない男だと思えるが、まあ本人の職業選択の自由だから辞めたことについてとやかく言うつもりはない。彼もなかなか大変な人生を送っているなあと思う。B県警の幹部の息子に生まれ、せっかく入った国立のC大学を中退し、D大の政経学部に入り直し、親の援助はもらえないと、産経の奨学生になり、天下のE証券に入社したものの数年で退社し、産経の販売局に入った。そして、また我が社を辞める。E証券が潰れたため、次はうちの番かなどとジンクスめいた事を言う人もいるが、C大学は潰れてないじゃんって、私は笑っている。そうそう、まあ、年中愚痴ばっかり言ってる奴で、D大の政経学部出身者は使えないと私に思わせた人間の1人であることも事実だ。辞める直前、仕事上ちょっと世話していたことがあったので、打ち合わせしながら、辞めて何するのか聞いたところ、奥さんの実家に入って、向こうの家業を手伝うような事を言っていた。一説ではF新聞社に行くという話も聞こえていたので、そういうことなら、奥さんと会社の板挟みになって悩んでいるという話も聞こえていた事だし、まあ、しょうがないなと思った。

 ところがである、最近聞こえてきたうわさ話では、Aは、本当にF新聞社に行くらしい。G県担当という具体的な担当地区まで聞こえて来ている。複数の筋から情報が入っているということもあり、おそらく本当なのだろう。私が社に入って15年、今まで、同業他社に行った社員は何人かいる。当然のことながら、みんな辞めるまでは事実を隠して辞めて行った、そして、ある日突然他社の担当員として現れる。今まで私はそういう連中を許せないと思っていた。直近で最後に辞めたH担当にはそれこそ別れ際に、「百歩譲ってI社や地方紙なら許すが、三紙だったら地の果てまで追っかけて行って、東京湾に沈めるぞ」と言ってやったくらいだ。私としても、彼が辞めて他紙に行くことは、産経にとって大きな損害だと思ったからだ。ちなみに地方紙だったので、東京湾には沈めずに済んだ。

 店主さんが辞めて他紙に行くのは、商売だし、ある意味仕方がないことだと思っている。さすがに、都内東部担当時代に有力店主に5人(ちなみに自廃された店は都合9店)もJ系に行かれた時には気が狂いそうになったが、今にしてみれば、まあ仕方ないと思う。逆のケースも当然あることだし、この業界では日常茶飯事だからだ。しかし、社員、特に担当員が他紙に行くというのは、私には信じられない。記者の場合は自分の記事が載るならどこでもいいということもあるだろうし、他業種では同業他社に移るなんてのはよくあることなんだろう。しかし、新聞社の販売の場合は、流通ルートの上で、協調している部分もあるし、公正取引協議会など、古巣の社員と毎月顔を合わせる場面もある。私はアメリカ式のヘッドハンティングというのはどうも好きになれないが、同業でないところへ行って、今までのノウハウを生かすというならそこで頑張って欲しいと思う。だが、辞める直前まで系列販売店に号令を飛ばしておいて、ある日突然、対抗紙に行って正反対のことをいうなんて、どんな脳みその構造をしているのか開けて見てみたいものだ。まあ、世の中には、他紙に行って局長まで行っちゃう人もいるわけだが、きっとものすごく切れる人なのだろう。

 年末の産経に対する嫌がらせ騒動の時、読者の切替、従業員の引き抜き、店主の引き抜き、果ては担当員の引き抜きもやるという話まで出て、現実にある優秀な担当がJ社の試験を受けたとか、まことしやかにうわさが流れたものだが、幸いにしてガセネタだったようだ。ところが、ここへ来てのAのF社への敵前逃亡のうわさには驚かされた。驚かされはしたが、私個人としては、別に社にとって大きな損失とも思わないので、放っておけばいいと思う。ついでにもう2、3人使えない奴を持っていってくれないかなどと陰口を言っている今日この頃である。お前は使えるのかと言われそうだがそれはそれで棚に上げておきましょう。

旅人新聞裏話のトップへ

旅人のほーむぺーじ トップへ