再販を踏みにじっているのは誰だ(平成14年2月12日)

 2ちゃんねるでは話題になるわ、他紙の担当員は見ているわ、我が社の秘書室でも話題になるわで、うっかりしたことが書けなくなってきたこのコラムだが、こうなってくるとちょっと意識しちゃうかな。

 さて、今日2月12日は新聞休刊日であったが、各社休刊日特別版を発行した。産経は首都圏・近畿圏を中心とする駅売店・コンビニ等での即売のみの発行だったが、読売、朝日、毎日、日経などは、首都圏及び東日本の主要都市で宅配まで実施した。今まで販売店の労務事情改善のためにといってようやく月1回の休みを実現してきたのに、産経潰しのためならそんな理屈は簡単に放棄出来るようだ。

 産経が休刊日即売を発表して以後、1月半ばになって読売が休刊日発行のための広告集めをしていることが判明、朝日毎日も読売がやるなら、対抗上やらざるを得ないとして、2月の休刊日は東京紙そろい踏みということになってしまった。しかし、休刊日を止めるのではなく、あくまで配達出来るところだけやるというのだ。再販制度を維持する理由として、全国同一の料金で読めるということをあげているのだが、休刊日に配られる地区と配られない地区があるのは、同じ料金を払っている読者に対してどう説明するのか。即売スタンドでは130円で売っていて、一方現読には無料で配達する。配られたところだけ別途課金するというなら別だが、明らかに配られないところと差別している。これで、産経浦安店の500円モニターチラシを社長会でまで持ち出して非難するというのだから呆れてモノも言えない。

 産経は不公平があれば再販を踏みにじることになるし、読者に失礼なので、1部たりとも配らないという方針をとった。読者には不評な部分もあろうが、産経としては販売店の所長・従業員に休みをとらせたいので駅・コンビニで買って欲しい。産経、日経、朝日、読売の4紙を取っている友人から、朝メールが入って、「産経だけ入らなかったよ」と言われた。夕方電話で話して理解してもらったが、「いやだねえ(他紙のやり方は)」と言っていた。

 今回の休刊日宅配で、読者に課金(つまり販売店に原価請求)しないとすれば、どの社もみんな巨額の赤字を覚悟での発行となり、販売店も大きな出費を強いられる。読売も朝日も来月以降の休刊日特別発行を続けるつもりのようだが、完全な消耗戦に突入してしまった。毎月やれば、年に数十億という新規経費になるのだが、相手を蹴落とすためのチキンレースの様相だ。自分のとこさえよければいいという、拡材販売と同じ手法がここでも採られる。休刊日に配られる、都市の専売地区読者はいいが、地方の合売地区読者をどうするつもりなのだろうか。どうやら、日本全国同一料金であまねく宅配するためという再販制度は、読売によって崩壊への崖を転がり落ち始めたようだ。 旅人新聞裏話のトップへ

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