新聞販売業界は朝読スタンダード(平成13年12月8日)

 世にグローバルスタンダードという言葉がある。私はこれをアメリカンスタンダードと呼んでいるが、日本の新聞販売業界のスタンダードも実は巨大な両巨頭朝日読売のスタンダードでしかない。その一例が、新聞販売に携わる者は白紙でも売るんだという、景品販売至上主義である。あるいは拡張団至上主義と置き換えてもいいだろう。さらには、部数は力という部数至上主義である。

 それはさておき、今回産経が首都圏で朝刊単独紙に生まれ変わるにあたり、朝読スタンダードが崩れるのを恐れる朝日読売の本社主導での産経に対する様々な妨害工作が繰り広げられようとしている。彼らにとってのスタンダードとはこの場合、@新聞は朝夕刊で売る物A客が朝刊のみを要望する場合には、極力夕刊を取らせるようにセット崩れ価格(朝夕セット料金から若干の値引きをした値段)で売ることB新聞は再販商品だから定価で売るのはもちろんのことだが、定価であっても自分たちのシェアを脅かすような低価格の商品の存在は許されない。C値上げはあっても値下げはないD新聞はセールスの競争によって売る物であって、価格政策によって売る物ではないE自系列の販売店は自社の所有物であって、そこに配達委託している別の社は寄生虫でしかない。従って、そのような社が自社の気に入らない販売政策をとった場合には販売店に圧力をかけ、その社の商品に対し、差別的販売行動を取らせることが出来る。。。。というようなことである。

 この朝読スタンダードに従ってきた結果、産経は東京80万大阪120万計200万という数字にずっと縛られて来た。今回産経がやっていることは、地方で朝刊単独紙(統合版)として読んでいるお客さんと同じ朝刊単独紙なのだから、料金を揃えようとしただけである。朝読だって、都内では朝刊のみ3700円なんて値段を認めても、地方では統合版定価3007円を店に厳守させているのだから。

 産経が200万前後でずっと推移してきたのは、もちろん朝読と同じ土俵で勝負してきたからだけでなく、産経の独自の主張が世に受け入れられなかったからでもある。しかし、時代は変わり、産経の主張が正しかったことが次々に証明され、風は産経に追い風、朝日には強烈な向かい風となっている。このまま、だまって産経の販売政策を許せば、自分たちの1030万、830万という部数が脅かされると考えたのだ。

 そこで、やってきたのが、余ってようが余っていまいが、とにかく部数減の注文を入れてくるということである。店としてはやりたくないのだが、社の命令だから仕方がないというところもあるし、この際だから配達部数ピッタリにして1円でも経費を浮かそうというところもあるだろう。多くの店は、その地区の平均普及率を大きく下回っているので、そういう店については、産経としてはまずは売ってもらうことをお願いしている。こんな普及率のはずがないと。しかし、所詮本家の紙ではないから身が入らないだろう。今後、そういった店がどう出てくるか。次は販売権をお返ししますという話になるかもしれない。それを朝読のみならず、毎日も一緒になってやってきそうな噂もある。全ての販売店がそんな考えではないと思うのだが、何せご本家様は鬼より怖い。その点、産経専売店にとってのご本家様は金はないけどハートはあるということで、鬼のご本社様ではないと私は断言出来るのだが。

 この件は今後しばらく続けて書いて行きたいと思うので、今日はここまで。

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