豚丼(平成16年5月30日)
 吉野家の牛丼がなくなってはや3ヶ月。カレー丼ってやつは出た当初にすぐ食べてみた。なか卯や松屋の豚丼豚飯も割と早い時期に食べてみた。しかし、吉野家の豚丼だけはなかなか手が出なかった。別にファンというわけではなかったが、牛丼に関しては絶対吉野家のが一番と思っていたから、カレー丼や焼鶏丼など別メニューとして導入したものでなく、まさしく牛丼の代用品として導入された豚丼に関しては、先入観もあり、まずかったらがっかりするという想いもあって食べる気が起きなかったのだ。先日、思い切って(そんなたいそうなことかい)吉野家の豚丼を食べてみた。

 がっかりしたというのが正直なところである。米国産牛肉の輸入禁止措置が続き、牛丼販売停止に追い込まれた時、オーストラリア産など他の牛肉に変えない理由を吉野家は何と言ったか。「当社が使用しております牛肉は、当社独自仕様の米国産ショートプレート(バラ肉)で、米国以外の国から一定量を安定的に調達することは非常に難しい状態です。」というのがWeb上の吉野家公式見解であり、当時の新聞等では、永年米国産バラ肉に吉野家独自の味付けをしてきたため他の牛肉で代用するのは困難とのことであった。それはその通りなのだろう。穀物を食わせて育てる米国牛と牧草で育てる豪州牛では味も違って当たり前だ。問題なのは、吉野家の豚丼と銘打って出すにあたって、味付けは牛丼を踏襲してはいないものの、豚肉のスライスの仕方がまるっきり牛丼だということだ。一言で言えば食った気がしない。同じスライスでこれほど違うものかと思い知らされた。豚丼は牛丼の牛を豚に替えて生姜を入れたりして味を変えてはいるが、スライスを牛丼と同じくすることによって、牛丼風に見せているのである。はっきり言って牛丼風の豚丼はうまくない。なか卯の豚丼の方がよっぽどいい。吉野家の芸の無さに唖然とさせられた。牛丼界の雄が転落する様を見せつけられるようである。これなら小学校の給食のカレーのようなカレー丼の方がまだましである。牛丼戦線でダントツだった吉野家も、単品至上主義のつけで他の味を作ることに関して、後塵を拝してしまったというのは間違いないようだ。今後何か豚丼が変わったとかのインフォメーションがない限り、吉野家の豚丼を食べることはないだろう。

 それにしても恐ろしいのは、こんな状況でありながら、未だに新規出店していることだ。先日千葉市の中心部を歩いていて、おいおいこんなところに吉野家あったっけっていうど派手に目立つところに新規出店していた。そこは、丼系ファーストフードの集中している所なのだが、こんなところに今の手負いの吉野家が出店して大丈夫なのかと他人事ながら心配してしまった。店舗数拡大(という名の自転車操業)こそが経営危機を回避する手段なのだろうか。米国産牛肉の輸入が再開してもハンナンはもう当てにならない。吉野家が今後どうなっていくか、豚丼は食わないが注目し続けようと思う。

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