君と歩いた青春/流星・・・後藤由多加栄光の軌跡(平成15年10月29日)

 オムニバスアルバム花盛りである。特に70年代を中心にして、邦楽洋楽問わず、レコード会社横断で次から次へと出るわ出るわだ。そんな中、この春、フォーライフからこれまた強烈なアルバム2枚組2セットが出た。私はオムニバスアルバムがあまり好きではないので気にも留めなかったのだが、先日CD屋でつい目に留めてしまった。タイトルは「君と歩いた青春」と「流星」、そしてサブタイトルが「YUI Seventies」だ。なんと憎いタイトルだろう。それぞれの曲目をちらっと見て、ついつい衝動買いしてしまった。1970年から80年までのユイ音楽工房所属だったアーティストの曲を計76曲集めたアルバムだ。70年に小学校に入り、79年に高校に入学し、76年から吉田拓郎ファンであり、中学高校時代にギター片手に歌っていた人間としては「だめじゃんこれ、買っとかなきゃ」と瞬間的に手にとってしまったのだ。拓郎一派、かぐや姫一派を中心にロブバードだの庄野真代まで入っている。これはもうしばらくカーステでぐるんぐるん聞き続ける事だろう。うー、何で俺のカーステはオートチェンジャーじゃないんだと思っても後の祭りだ。それほど4枚続けて聞きたいアルバムである。

 しかし、よくこんなもの作るよなあと感心する。今、ユイに所属してるのは伊勢正三だけである。確かに名曲揃いだし、長渕の「乾杯」ってこんなに前だったんだって驚いたりもする。このアルバムのプロデューサーは当然の事ながら後藤由多加その人である。ユイ音楽工房の創業者社長にしてフォーライフレコードの3代目の社長、拓郎やかぐや姫と青春を歩いた人だ。70年代若者の音楽の旗手であり、日本の旧態依然とした音楽界に拓郎と共に革命を起こした人物である。フォーク・ニューミュージック界の影の帝王と呼んでもいいだろう。その人が、もちろんある種のコンセプトに基づいて選曲しているのだろうが、自分と一緒に仕事をしたアーティストの、自分の好きな曲を集めてアルバムを作り、しかもそれを売ってしまう。なんて贅沢でうらやましいことだろう。サブタイトルは後藤由多加栄光の軌跡とでもすべきだったのではないか。「君と歩いた青春」で始まり、「飛んでイスタンブール」で締めくくるこのオムニバスアルバムを聴くにつれ、偉大なり後藤由多加と思わざるを得ない。

旅人お気楽極楽のトップへ

旅人のほーむぺーじ トップへ