フーリガンは来なかった(平成14年6月23日)

 トルコ対セネガル戦はサッカー素人の私が見ていても本当に面白かった。やっぱ、フットボールの方がベースボールより、遙かに面白いよ。でも、やっぱりラグビー・フットボールの方が俺は好きだな。それはさておき、セネガル戦でのゴール枠に飛んだトルコのシュートは何と2本しかなかったという。その内1本が延長ゴールデンゴールだ。それでもトルコは勝った。拮抗した力のぶつかり合いの中で、少ないチャンスをモノした方が勝つという見本だったように思うが、そうだとすれば、スペインもイタリアも少ないチャンスもモノにしていたのに負けたということになる。そう、韓国は2回負けているはずなのに、ベスト4。これが、ホーム・アドバンテージの魔力か、はたまた脅迫か無言の恐怖か、買収か。ドイツもやばいな。どんなにゴールを決めても全部ノーゴールにされたりして。

 日本戦では、審判が恐怖を覚えるようなホーム・アドバンテージはなかった。ただし、予選リーグではやはりサポーターの応援が日本代表の後ろから強烈な追い風を吹かせていたと思う。しかし、宮城スタジアムではその追い風が雨に鎮められてしまったのではないだろうか。韓国の赤一色のスタンド、日本の青一色のスタンドが追い風を吹かせる。あの土砂降りの雨は日本サポーターの青いシャツを白い合羽で覆ってしまった。その夜一番町で奇声を上げるサポーター達を見て私は思った。そんな元気が残ってるなら、何でスタジアムで青いシャツのまま応援しなかったんだよと。選手は合羽なんか着られないんだぞと。

 あと4試合でW杯が終わる。フーリガンはとうとう来なかった。いや、まだドイツがベスト4に残っているからなんとも言えないが、イングランドとアイルランドの去った今、世界最悪のフーリガン襲来の危機は去ったとほぼ言えるだろう。起こるかも知れない騒乱を考えれば、すすきのの多くの店がイングランド対アルゼンチン戦の夜、シャッターを降ろしたという選択は実に正しいと思う。ドーバー海峡の両側ではきっと今でも、その時は台風に備えるように家を封鎖してしまうんだろうから。

 W杯はいろいろな民族特性を浮き彫りにするが、日本にでキャンプを張った各チームは淡路島でのイングランド、中津江村のカメルーンに限らず、その歓迎ぶりにさぞかし驚いたことだろう。キャンプ地になった各市町村は、単なる観光誘致という以上の歓待ぶりを示していた。指宿のいちホテルが誘致したフランスだけはその恩恵を受けなかったかもしれないが、母国からやって来るサポーター以外に、開催国民が専属サポーターとして応援してくれるというのは、心強かったに違いない。もっとも、カメルーンが中津江村を選んだのはあまりに僻地過ぎて、これならサッカー以外の雑音から遮断出来ると目論んでのことだったらしいから、自分たちが遅れて来たおかげで、一躍中津江村を有名にしたあげくに、もの凄いマスコミの取材攻勢を受けることになってしまったのだから皮肉なものだ。しかし、縁を大事にする日本人の優しさを各国とも思い知らされただろう。同じH組の敵であるベルギーを熊本では歓待したが、こんなことは普通考えられないことだという。普通なら、ロシアキャンプの清水のグラウンドに除草剤が撒かれた事件の類とか、今回無かったようだが選手の宿泊施設の周囲で大騒ぎして選手を寝かさないなどは、よくあることだという。そう考えると、敵チームだろうが、敵国のサポーターだろうが、みんなまとめて歓迎してしまう日本人は、やはりお人好し民族なのではないか。かく言う私も、日本対ベルギー戦の前夜、ベルギー人のおねえちゃんに親切にしていたのだから、やっぱりお人好しの血が流れているかも。

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