おそらく今、エシュロンは機能不全(平成13年10月18日)

 今回のテロ事件で、CIAやFBIは何をやっていたんだという風当たりが非常に強いらしく、アメリカの新聞では糾弾の投書が大変な数だったらしい。日本にはアメリカはわざと撃たせたとか、CIAの陰謀とか言っている連中もいるようだ。しかし、それはCIAには酷と言うものだろう。世界に冠たる民主主義大国、自由主義大国、人権大国として、諜報機関としての手足をどんどん縛っていった結果、スパイの養成より電子的に情報収集する方へ大きくシフトし、人間のもたらす情報を軽視し続けてきたつけが今、回ってきたのだ。

 2、3年前、欧州議会で問題になっていると聞き、今年に入ってから、日本でも関心を持たれる様になってきたエシュロンが電子諜報戦の最たるモノだろう。通信、電子メール等の盗聴・傍受を米英豪など英語圏諸国が協同で、毎日何百万という回線を行き交う通信の中から、特定のキーワード(例えば"爆弾"とか"誘拐"など)を抜き出して、チェックするようだが、今回の事件はエシュロンを機能不全に追い込んでいるんではないだろうか。なぜなら、世界中の一般市民が、今回の事件のことを茶飲み話のように電話で話し、メールで会話していることは容易に想像がつくからだ。それは、平時に交わされる量の何万倍にも当たるだろうから、最終的に人間がチェックするにしても、とても追いつかない量の情報になってしまい、普通なら鳥取砂丘で探すようなものが、サハラ砂漠に埋まったダイヤモンドを探すような作業になっているのではないかと思う。それでも、作業が順調に出来るとすれば、コンピュータ恐るべし、エシュロン恐るべしと言ったところだが、そもそも、その存在すら否定されているのだから、困ったという話も聞こえて来ないのだろう。私は常々、営業は最終的には人と人と言っているのだが、諜報活動も最終的には人と人ではないかと思う。CIAに限らず、人間電子情報ばかりに頼りすぎるとろくでもないことになりますよ。

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