今日、ふとテレビのニュースを見ていたら、米海軍のイージス艦が新潟に寄港しているシーンを放映していた。北朝鮮のミサイル基地での慌ただしい動きというニュースを知っている人間なら、ああ、日本海に米軍が出張ってきて見張るんだなとすぐ思うのだが、万が一知らない人がいるとしたら、次のシーンを見て、すぐに戦争は嫌だとだだをこねるのだろう。次のシーン、そう、お決まりの反戦団体による、イージス艦寄港反対の岸壁でのデモンストレーションだ。この性懲りもない連中はとにかく米軍と言えば戦争の象徴で、北朝鮮だろうが中国だろうが脅威なんて存在しない、戦争はいつもアメリカが引き起こすもの（別にこれが間違いというわけではないが）、もしかすると未だに北朝鮮が日本人を拉致したことも世界平和のためなんてぬかすんじゃないのか。イラクで大量破壊兵器が見つからなかったからと言って、北朝鮮にだってないと断言しかねない北朝鮮の回し者だから、一般的にはもうこういう連中を相手にするバカもいないとは思うが、世の中相変わらずの人が多いから気をつけてないと、いつまた、北朝鮮のスパイ＝反戦左翼＝進歩派文化人＝左翼マスコミが息を吹き返すか分かったもんじゃない。
最近読んでいるマンガで、新潮社コミックバンチの日本国大統領桜坂満太郎というのがある。まあ、無茶苦茶なのだが、設定自体は結構面白い。北朝鮮の工作員が国会近くで予算審議の日に小型核爆弾を爆発させる。日本の首脳は全滅。北朝鮮への報復として米軍がピンポイント爆撃で独裁者を暗殺。北工作員の陰で糸を引いていた中国は北の反独裁者側将軍を立て、韓国に攻め込み一気に南北統一。半島の世論を一体化させるため九州に攻め込む。その統一朝鮮軍を踏み台に中国軍が日本に侵攻とこういったストーリーで始まるのだが、日本中至る所にいる中国の工作員とか協力者とか、あっておかしくない設定が満載だ。笑えるのは、東北に侵攻してくる中国軍に罠を張っていた自衛隊の前にピースボートみたいな連中が現れ、丸腰の平和主義者を撃つはずがないと言って中国軍の戦車の前に立ちはだかり、全員射殺されるシーンだ。ま、実際そんなもんだろう。
このマンガの設定は平和ボケ日本がいとも簡単に侵略されるというものだが、現実問題として、平和ボケの最たる者はやはり小泉純一郎首相だろう。財投廃止のための郵政民営化を本気でやり遂げれば必ず歴史に名が残るのに、失敗したときの予防線として北との国交正常化をやろうとしているとしか思えない。中山参与をお役御免にした上で、斎木審議官を駐米公使に転出させようという目論見は半分失敗に終わったが、対北強硬派をはずして、対北融和派を使い、拉致問題に幕引きして日朝国交正常化など、北朝鮮のなんたるかを知らぬ平和ボケ以外の何者でもない。北朝鮮は紛れもないテロ国家である。アメリカがイラクと違って簡単に戦争で片づけないのも、何をしでかすか分からないという要素が多分にあるはずだ。
そんな、小泉首相が国連で本格的に安保理常任理事国入りをぶちあげた。よもや、日朝国交正常化が出来なかった場合の保険とは思わないが、常任理事国の役割を何か勘違いしていないか。国連安保理は戦争あるいは国際紛争が起きたときにあらゆる手段をもってそれを解決しようという組織である。当然基本は軍事オファーとなる。集団的自衛権の行使を飛び越えて、軍事力による制裁行為を発動させなければならない。経済制裁くらいで止まるなら安保理などいらないのだ。しかし、日本に出来ることはせいぜい、その国からの輸入を止めますよってなことくらいだ。ようやくイラクに自衛隊を派遣したと言ったって、それは国内で言えば災害派遣程度のことでしかない。治安維持のために派遣してこそ軍隊の海外派遣であり、イラクに自衛隊を送り込むことに成功したからといって、自衛隊の海外派遣が恒常化出来ると思ったら大間違いだ。
安保理の常任理事国として任務を果たそうと言うなら、被制裁国との戦争を辞さない覚悟が必要で、それもなしに常任理事国など他のメンバーの足を引っ張るだけである。ドイツは少なくともヨーロッパの域内なら派兵が出来る。日本は戦争のための派兵など現行憲法上全く出来ないのである。いざ、３８度線で事が起こっても指をくわえて見ているしかない。まあ、韓国が迎合しての南北統一も近いので、少なくとも朝鮮半島はないにしろ、台湾海峡はどうなるか分からない。台湾が独立を宣言し、人民解放軍が侵攻なんて事態が起きて、国連が仲裁に入るといっても日本は軍事的に何も出来ないのだから、傍観するしかないのだ。軍事力を持たない国が独自の主張など、誰も耳を貸さないだろう。いくら手続き的に憲法改正より簡単そうだからといって、現行憲法９条を持つ国が安保理常任理事国になるなどちゃんちゃらおかしいのだ。在任中憲法改正に手をつけないというなら、常任理事国入りも黙っていろと言いたい。