ムネオの前にムネオなく、ムネオの後にムネオなし(平成14年3月1日)

 私の好きな政治家小池百合子は、自身のホームページの永田町ワールドというところで「外交は、票にならない、地元活動に不熱心と言われる」と言っている。年末年始に中東からアメリカへと自費で走り回った話の一節なのだが、彼女は外交を票には結びつけられないけど、金には結びつけられることを知らなかったか、知っていてもやらなかったからだ。しかし、鈴木宗男は違う。誰も気が付かなかった、外交を金に結びつける術を発見し活用したのだ。もちろん、ODA利権というものは元々存在するが、それはどちらかと言えば、建設族利権に近い物であり、外交を金に結びつけるのとはちょっと違う。

 私は鈴木宗男という政治家を初当選の時から嫌いだった。中川一郎自殺事件の当初から、死に追いやった疑惑が囁かれていたし、それにもかかわらず、御曹司中川昭一と争って、衆院選に立候補するなど、情のかけらもない奴だと思ったからだ。しかし、金にも票にもならないと自民党政治家の誰もが近寄りたがらない外務省に、政務次官就任を機に近づき、政治的に親身にすることで、省内に確固たる地位を築いていく。ただ、公共事業を引っ張ってくるだけなら、自民党の誰でもやることだが、所詮選挙は金、献金を持ってくる企業の仕事を作るなら別に国内でなくてもいいというところが、従来の発想でないところだ。3月1日付の産経一面に斉藤勉記者が、ノンキャリアだった「佐藤優」前主任分析官の力量とそれを見出した鈴木宗男について書いている。一方で野中広務に臆面もなくベタベタくっつくところといい、全く個性的な政治家で、こういう個性的な人間は私の好むところなのだが、自分の気に入らないところがあるとすぐ大声をあげると言われるところなど、(最近別のページで話題の)どこぞの会社の偉い人みたいで、やはり好きになれない。

 外務官僚は外務官僚で、ぐちゃぐちゃ言ってくるだけで、外務省のために何もしてくれない政治家が多い中で、行動力があり、外務省のために頑張ってくれる鈴木宗男にメロメロになってしまったのだろう。それもこれも、雑誌SAPIOで古森義久氏が連載しているように、外交官が官僚の中でも特に別種の特権意識を持ち、政治家とのおつきあいを本質的には避けて来たからではないか。他省ならそれぞれ、応援団(圧力団体でもある)といえる族議員がいるが、外務省には族議員がいなかった。その隙間にうまく鈴木宗男が入り込んだのである。

 鈴木宗男は外交族議員ではない、なぜなら外交族というものが存在しないからであり、いまだかつて、外務省応援団になった政治家は鈴木宗男だけだからである。そして、鈴木宗男の外務省利権が確立する前に全て白日にさらされてしまった今、今後鈴木宗男を真似しようという政治家も現れないだろう。外務省も政治家を利用することはあきらめて、小池百合子のように、真剣に日本外交を考え、献身的に個人外交をしている政治家の手助けをするべきである。というより、保守党に居る限り無理なのだろうが、小池百合子を外務大臣にすべきだと私は思う。

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