素晴らしきモバイル社会(平成12年12月16日)

 最近の携帯電話のコマーシャルで、スーパージェッターやら、サンダーバードやらを引き合いに出して、その昔SFでしかなかった携帯無線通信が実現したと楽しそうに騒いでいる。確かに来春の次世代携帯電話が登場すれば、もう完全に一昔前のSFは克服してしまいそうだ。

 携帯を使い初めて7年半。半年前までに使った4代の携帯はあくまでただの電話だった。しかし、それでも今までは出来なかった、待ち合わせ時の相互連絡など全く問題なく出来るようになり便利さは何百倍にもなったように思う。それにしても、i-modeは本当に恐ろしい機械である。あれは、どう考えても電話ではない。携帯パソ通ツールだ。まったく、パソコン開いてメール送る(あるいは見る)必要性の大半はなくなってしまった。もちろん、まだまだパソコンじゃないと出来ないことの方が多いし、(メールを打つなど)使い勝手もパソコンの方が上だが、単なる連絡メールなら、i-modeだけでも充分機能を果たす。

 インターネットを普及させたのも、ビデオを普及させたのも、ポルノだと言われるが、i-modeもそうなのだろうか。既に国民の6人に1人がネット対応モバイルを持ち、2人に1人以上が携帯を持っている状況では、そんなもの必要ないかもしれない。

 ポルノではないにしても、それに近い物に「出会いサイト」というのがある。名前の通りならメルヘンチックなのだが、要はツーショット伝言ダイヤルのネット版のようなものである。あるサイトでは1日数十万アクセスがあるそうだが、それを見てメールを送る連中が何十人もいれば、たちまち何百万通というメールが飛び交うことになる。NTT DoCoMo(あるいはauやJ−Phone)丸儲けの構図である。全然はまらない人もいるだろうが、現に私の周りにもはまっている人間はいる。モバイル・コミュニケーションは人と人の壁を取り払うことが出来るのだろうか。

 いずれにせよ、携帯電話が人間の基本的関係そのものを変えていくことだけは間違いなさそうである。きっと、倫理観も一緒に吹き飛ばしてくれることだろう。

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