インターネットはビジネスを変えるか(平成12年11月9日)

 今や世をあげてIT騒ぎである。Information Technologyというからには、あくまで情報技術であって、商売のことではない。インターネットや電子メール、モバイルツールがどれだけ発達してもそれは単なる手段であり、それ自体は目的ではない。人気取りの政治家が国民全員に端末を配ろうとか、技術講習の補助をしようとか言っているが、猫に小判ではないのか。必要のない人には全く必要がなく、必要な人は自分でどうにかするだろう。どうして、何でもかんでも国で面倒を見る福祉国家思想が染みついてしまったのだろうか。これでは国の借金も増えて当たり前である。所詮、人間嫌々やることは身に付かないものだ。そんなことやっても税金をどぶに流して終わりだろう。

 携帯を使い始めて7年を超え、パソコンを触り始めて5年を超え、インターネットや電子メールを始めて4年になるが、いずれも必要を感じて始めたことで、誰かに強制された訳ではない。ただ、幸いにして私の回りに、世の中でパソコンがブームになり始める前から、コンピューターに精通していた人がいたというだけである。そして、自分自身がこれらのツールとしての価値に魅力を感じた訳だ。

 さて、私も営業マンのはしくれなのだが、営業マンにとって、資料管理や計数管理、連絡手段としてのパソコンはもはや拒絶出来ない域まで浸透している。個別の商品発注ならインターネットは非常に便利な代物である。しかし、本来営業とは人間と人間との勝負であり、機械には代行できないはずのものだ。ビジネスは確かに物やサービスを売り買いして、お互いが利益を追求するもので、感情など介在する必要はないかもしれない。だが、信用とは何かといえば現物が手に入るまでは結局は、売り買いしている人間そのものの信用でしかないのだ。従って、いくらメールでやりとりしようが携帯でいつでも連絡が取れようが、会って顔を見て話すことに勝るものはない。顔の見えない商売など危険きわまりないし、全く見ず知らずの人との取引なんて、よっぽどのインセンティブがないと出来ないだろう。

 結局、ITがどんなに発達しても、人と人が顔を合わせる営業はなくならないし、人が運搬手段をもって商品を運ぶ物流業も無くならないに違いない。最終的には全て人間に依存するのである。

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