秋山郷・飯田線・奥裾花

ニッポンの秘境・秋山郷  
 3月3、4日、2月の業務を前日で終えた旅人は、任期終了を前にしてどうしても行っておきたかった新潟県との県境の栄村の秋山郷に出かけた。秋山郷はその昔は冬になると誰も近寄れないと言う、秘境中の秘境。今でこそ国道が通って入れるようになったが、数mの豪雪に包まれる雪の中の集落だ。みんなの好きな苗場のちょうど裏側にあり、野沢温泉の裏側でもある。こういうとなんとなく位置関係が分かるだろうか。

 今年は雪が少ないため、写真のように森宮野原駅前の超有名な日本最高積雪地点の塔もほとんど雪に埋まっていない。長野市内を2時過ぎに出て、高速は使わず、下道で飯山へ、栄村まではあっと言う間であったが、県境の橋を渡って新潟に入ってからが長かった、どこまでいっても津南町秋山郷で目指す栄村秋山郷ははるかに先であった。新潟から長野に戻るとなんとなく道が狭くなったような気がしたが、道路の両側の雪の壁も低くなった様な気がした。途中所々雪の固まりが落ちており、直接落ちてきたらと思うとちょっと恐怖であった。しかし、チェーンするまでのことはなく、4WDとスタッドレスで十分である。

 目指す旅館には結局5時過ぎに到着とあいなった。上ノ原温泉という、ここは栄村村営のいわば国民宿舎のような宿。茅葺き屋根の情緒ある宿で本館が食事をする大広間と内風呂。宿泊は個別に別れて立っている別館で三左衛門(さんぜむどん)という部屋があてがわれた。しかも、2部屋プラス広間でいわば2LDK(キッチンもある)であった。

 露天風呂は男女別々になっており、もしまた行くことがあったらこんどこそ混浴のところを探そうと思う。山奥の星のきれいな露天風呂は何度入っても気持ちいいもので都合3回も入ってしまった。お湯質もなめらかで、かなりの温度があるため厳冬でも結構な温度である。あれは夏行ったら熱くて入れないのではないか。食事は完全に山菜料理で時期はずれではあるものの楽しませてくれる。もちろん岩魚も出たよん。

 翌日、志賀高原へ抜ける林道にアタックしようと思ったが、あまりの積雪にほんの入り口でやはり断念した。まだまだ命が惜しいようである。昨日来た道をそのまま戻り、津南の町中に入ると、昨日は気づかなかった、歩道の上の雪だるまや雪の彫刻が目を楽しませてくれた。CHBや上越の温泉ツアーの一候補地としては、なかなかディープな場所だと思いますがみなさんいかがですか。(平成12年3月)

秋山郷

上:囲炉裏端でくつろぐ旅人、下:森宮野原駅前の日本最高積雪地点の塔の前で

遂に実現。飯田線の旅  
 
 3月7、8日と会社の労働組合の中央委員会に出席し、言いたい放題発言しまくった旅人は、会議終了後、長野市へ向かうべく、浜松駅から豊橋へ向かった。豊橋駅14時43分発の飯田線飯田行に生まれて初めて乗った旅人は、長野駅到着22時46分という、かつて経験したことのないローカル線の旅に出たのだった。といっても、北海道の赤字ローカル線に民営化前に乗りまくった、旅人の友人達から見れば飯田線一本くらいで甘いと言われそうだ。

 それにしても、飯田まで129.4km、飯田―岡谷75.9km、岡谷―長野87.7kmの計293kmの旅は、長野新幹線222.4kmよりはるかに遠く、東海道新幹線東京豊橋間とほぼ等距離である。考えてみればとんでもない電車に乗ってしまったものだ。

 乗る前にカメラを買えばよかったのに、うっかり忘れ、途中の素晴らしい山間部の景色を撮り損なってしまった。途中、中部天竜という駅で、すれ違いの12分の停車の間に買いに行って、なんとか長野県最初の村、天龍村の平岡駅で証拠写真を撮ることが出来た。(右の写真)

 この、中部天竜だいたい飯田までの中間地点だがここまでで既に2時間。この静岡県佐久間町というところ、昨年のしし座流星群を見るため、ひたすら南下して、ついに浜松まで行ってしまった時に通過した懐かしの町である。車で行ってもとんでもないところだったが、電車で行くと人一倍大変なところである。昔の人はよくこんな山間部に鉄道を敷いたものだ。

 飯田線に乗る前、私が勝手に想像していたのは、飯田線というのはきっと天竜川の峡谷を利用してくねくねと走っているに違いないということだった。長野県内では確かにその通りで、天竜の流れというより、伊那谷の鉄道である。しかし、愛知・静岡県内では、谷から谷へと、トンネルをくぐりながら、谷底を走るいくつもの支流を渡り歩くように少しずつ山を登って行く。まさしく、初めて乗るローカル線の旅の醍醐味だ。

 ひたすら山の中を走り、長野県側に出ると、あとは伊那谷をひたすら走って行く。飯田に19時10分に着くと、すぐ目の前に快速長野行(19時16分発)そして、長野駅に23時に到着、例によってぱんどらへと消えたのだった。(平成12年3月)

飯田線

上:中部天竜駅舎、中:飯田線の電車と共に、下:平岡駅ホームで

奥裾花自然園  
 海外へ行くのもいいが、日本にはまだまだ素晴らしいところがたくさんある、というのが旅人の持論であるが、5月4日、長野県上水内(かみみのち)郡鬼無里(きなさ)村の一番奥にある水芭蕉で有名な奥裾花自然園に行って来た。裾花川という犀川=信濃川の支流の源流で雪解け水が怒濤のように流れる川を挟んだ峡谷の一番奥にあり、ブナの原生林とともに、7ha81万株の水芭蕉が咲く池と湿原が広がっている。

 旅人=晴れ男のため、この日もGW最高の快晴に恵まれ、水芭蕉よりもお目当てだった戸隠連峰の裏側をとくと拝むことが出来た。山梨の昇仙峡も良いが、奥裾花峡谷の切り立った岩肌も絶景である。まだまだ残雪がたっぷりあり、雪解け水が岩肌を滝のように流れ落ちている。

 肝心の水芭蕉は写真のようにまだ1分咲きで、なおかつ雪の中をノーマルシューズで歩かなければならなかったが、地元のテレビ、信毎等でそのことをさんざん宣伝してくれたため、渋滞が少なくて助かった。花より山の景色を見たい旅人としては最高の天気い最高の眺めで大満足。雪がなかったらこの絶景も半減であろうから、無理して長野市内から往復6時間の強行軍も素晴らしい景色で帳消し出来た。

 まだまだ長野県内だけでも行ってみたいところがたくさんあるが、日本国内に広げれば、見るべきところは無限にあり困ってしまう。(平成12年5月)

奥裾花

左:水芭蕉の池をバックに、上:戸隠連峰をバックに、下:水芭蕉

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